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人事部 部長に聞く「人財戦略」

人事部 部長(能力開発担当) 大森 哲司

目指す社員像:“自ら学び自ら考え、チャレンジし、成長し続ける”いついかなるときも最高の力を発揮できるように。

三井住友海上では、大前提として「人材」ではなく「人財」だと考えています。言葉の表すとおり、社員一人ひとりは会社にとって最も重要な財産です。全社員が仕事を通じて、「働きがい」「成長」を実感し、三井住友海上の社員であることを心から誇りに思える、こういう職場環境を創り上げることこそが三井住友海上として大切な人財(社員)に対する責務であると考えています。
“自ら学び考え、チャレンジし、成長し続ける”ことを、新入社員だけではなく全社員の目指す姿と置いて、人財育成を経営の最重要課題として注力しています。当社の今後の成長においても、社員一人ひとりの力量向上が非常に大きく影響するからです。
損害保険会社と言えば保険商品を販売するだけのイメージが強いかもしれませんが、当社はリスクソリューションを提供する会社です。リスクソリューションとは世界中のあらゆる人と企業に、安心と安全を提供していくことと考えています。安心や安全を阻害するリスクは、世界中のあらゆる人や企業の置かれた環境によって異なります。お客さまの個々のニーズを的確に捉え、リスクという目に見えない不安を軽減・排除できるのは、お客さまの身近にいる営業担当の社員です。
そのリスクソリューションのひとつとして提供しているのが損害保険です。この商品の特徴はお客さまが事故に遭われたときにその真価が発揮されることです。事故に遭われたお客さまの不安をなくしていくことも、事故解決にあたる損害サービス担当の社員にしかできません。私たちの提供する商品価値の多くが、担当した社員一人ひとりの行動にかかっています。言い換えると、人も含めた価値(サービス)を提供しているのです。

世界中の環境が目まぐるしいスピードで変化する今、営業・損害サービス部門等の第一線現場で働く社員をはじめ、当社の全社員一人ひとりが、自ら学び考え、チャレンジすることなくして、世界中のお客さまに安心と安全を提供することなど不可能です。そしてさらに高い品質のサービスを提供するためには、一人ひとりが成長し続けていくことが必要不可欠なのです。
昨年起きた東日本大震災では、社員も代理店さんも、昼夜を問わず、それぞれの置かれた環境の中で、今できることは何か、いちばん必要とされていることは何かと、アイデアを出し合い、まさに損害保険会社の存在意義をかけて取り組みました。このときのように、いついかなるときも、どんなことが起ころうとも、私たち社員一人ひとりが、自分で考え行動できること、そのためには今以上にもっと社員一人ひとりの力量を向上させていきたいと考えています。

豊富な経験の中から自分の専門性を高め、世界を舞台に活躍できる人財を育成する。

社員一人ひとりの力量向上と組織力の向上を2つの大きな柱として、改革を行ってきました。改革の根底にあるのは、国内市場の低成長化、急速なボーダーレス化など、激しい社会全体の環境変化の中で、より大きな成長を遂げることを目的とした戦略です。まず取り組んだのは、育成マネジメント(職場のマネージャー層による部下育成)の改革でした。部下の良いところを見つけ、大きく伸ばしていくこと、そして失敗も成長の糧であるとの度量を持ち、新入社員にも大きな仕事を任せていくというのが当社ならではのやり方です。これを現在の環境変化にあてはめ、実践していくために育成マネジメント力の強化に取り組んできました。

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さらに現在は、新入社員教育をより充実させていくことに注力しています。入社後2年間を新人社員教育期間ととらえて根幹となる部分のトレーニングを行います。まずは保険の本質的な理解を深めていきます。保険の仕組み・歴史・考え方など、自分たちが何を提供していくのか、どういう考え方で進めていくのか、この部分がしっかりと理解できていれば各保険商品の内容理解はそれほど難しくはないでしょう。
現場ではOJTを行います。『ブラザーシスター制度』という仕組みがあり、新入社員には入社から1年間、指導役の先輩社員が一人ずつつきます。ブラザーやシスターは新入社員が担当する仕事を主体的に進めていけるようにサポートする存在です。
さらにこの時期は“自ら学び考え、チャレンジし、成長し続ける”ということを体験し、習慣化していく期間としてとらえています。これは一朝一夕にできることではないと思っています。この体験を意識的に繰り返し習慣化していくことで、身に付いていく行動様式だと考えています。これを徹底的に意識した2年間を過ごすことで、その後の成長カーブが大きく変わっていくと考えています。

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人財戦略においてもうひとつ挙げると、グローバル人財の育成があります。当社は現在41か国・地域でビジネスを展開しており、従業員の約1/3が海外スタッフというグローバルカンパニーでもあります。こうした今、語学力はもちろんですが、海外拠点におけるマネジメント力や、営業、損害サポート、国際会計、リスク管理等の専門スキルも必要になっています。語学力では、新入社員と3年目の社員にTOEICの受験を必須化しています。その後は、社員が自発的に参加できる制度として、当社の海外戦略や異文化の中でのコミュニケーションについて学ぶグローバル人財入門講座を用意しています。



また短期間(2週間程度)、当社海外拠点へ派遣するグローバル・トレーニー制度では、海外拠点のスタッフとの交換留学のような形でお互いの職場を経験します。次いで、MSBU(三井住友海上ビジネスユニバーシティ)では、MBA、アンダーライティング(保険引受)、リスクマネジメントなどコース別の海外研修(1年間)によって専門性を高める人財育成を行っています。

社会環境の変化と共に人や企業を取り巻くリスクも変化し、新しいリスクも生まれます。適切なリスクソリューションを提案できるためには、数年程度ですべての知識を身に付けられるものではありません。さまざまな制度を活用し、また現場で経験を積むことが個人にとって大きな財産になります。人事異動によるジョブローテーションがあるのも、さまざまな経験の中から自分自身の強みを発見し、強化し、さらに広範な知識を広げていくために会社が提供する機会のひとつです。



いちばん大切なのは“柔軟な思考”。今、自分の限界を考えることなど無用です。

“自ら学び考え、チャレンジし、成長し続ける”ために必要な自立性や積極性、ポジティブシンキング、そして世界中のあらゆる人や企業の方々のニーズを捉えるコミュニケーション力、これらを最初から備えていることに越したことはありませんが、こうした力は入社後の実践を踏まえたトレーニングで身に付けていくことができると考えています。このコミュニケーション力については、私は「想定力」と言っているのですが、前述の通り私たちのビジネスは形のある商品を見て、買っていただく仕事ではありませんから、お客さまの要望をくみ取ることが最初にあります。例えば営業担当の社員であれば、お客さまが今聞きたいこと、知りたいこと、不安に思っていることにマッチした情報を提供することが大切です。自社の商品を説明し、自分の言いたいことだけを言っていては、お客さまに安心と安全を提供することはできませんよね。いかに相手の状況を想定できるかという点に重きを置き、考えを巡らす力を「想定力」と呼んでいます。

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「想定力」も日々のトレーニングで身に付けていくことができます。若いときから意識的に訓練していけば自分なりのスキルが身に付き、応用が利くようになっていくものです。こうしたさまざまなスキルを身に付けていくため、そして目まぐるしい環境変化の中でも確固たる力となる根源的能力は、柔軟な思考力だと考えています。柔軟に構えれば、自分自身の成長の可能性など、いくらでも考えられます。就職活動の中で「これができなければいけない」、「こういう条件でなければいけない」と自分の限界を考えることは、当社ではまったく無用です。それは思考が柔軟ではなくなっているということです。



自分自身の若手時代を振り返ってみると、目の前のことに必死だったという記憶があります。自分の意見ははっきり言うほうでしたから、生意気だったかもしれませんね。人事部に異動するまで、26年間ずっと営業畑を歩んできました。大阪、徳島、東京、神戸、長野、島根・鳥取といたるところに転勤しながら、たくさんの方々と知り合うことができました。自分の第2、第3の故郷だと思える場所もできました。私自身の経験で当社の魅力を語るなら、こうした転勤という機会があることです。今ではその機会が、日本だけではなく世界にも広がっています。さまざまな土地で暮らし、さまざまな人と出会い、さまざまな経験を積んでいける、これほど良い経験はないと思います。

私の原体験になっているエピソードがあります。入社3年目、当時、リテール営業として担当していたプロ代理店の方が腎臓結石になられた。ちょうどそのとき、ご親族の車が車検の時期を迎えていたのです。いつもはご自身で自賠責保険を発行して、整備工場に持ち込んでいらしたのですが、痛くて動けないと連絡が入りました。言葉通り七転八倒しながら書類を書いて「こんなことを頼んで申し訳ないけれど持って行ってくれないか」とお願いされました。プロ代理店として三井住友海上の保険に100%自信を持って売ってきた、だから、他社には絶対任せたくないとおっしゃった。さらに後日談があります。入院先の病院の看護師さんに当社が積極的に販売していた積立型商品をおすすめして契約をもらって「この前はありがとう。(お礼に)これもらっといたから」と私に手渡してくれました。入院中であっても保険の提案をする代理店さんのプライドとプロ意識に感銘を受けました。これほどまでに当社を愛し、信頼してくれているこの方の期待に応えられる社員になろうと強く思いました。

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多くの社員が上司、先輩、代理店さんなどから、こうして育ててもらったという経験があります。だからこそ、後輩にも多くの経験を積んで、大きく成長してほしいという思いが強い、それが当社らしさであると思います。